口臭バイブル/口臭に悩む方のための情報館

口臭バイブルは、口臭に悩むすべての方のための情報館です。

血液から生まれる“内側のにおい”

口臭というと「口の中の汚れ」や「歯周病」など、口腔内だけの問題と思われがちですが、実はそれだけではありません。
中には、体の内側、つまり血液中に含まれる臭気成分が原因となる“呼気性口臭”があります。

まずは、口腔内の問題をしっかり解決することが第一です。
虫歯・歯周病・舌苔(ぜったい)・唾液の減少など、口腔生理上の不調を改善したうえで、それでもなお臭いが残る場合には、「呼気性臭気(こきせいしゅうき)」が疑われます。

確認の方法は簡単

家族などに協力してもらい、「ハー」と大きく長く息を吹きかけて、最後の方の息(息が切れる寸前)を嗅いでもらってください。
もしこの“終末の息”が臭うようであれば、それは呼吸に混じって出ている臭気――つまり呼気性口臭
の可能性が高いです。

この呼気性口臭は、尿のにおいとよく似ています。
実際、尿をコップに取り少し離して嗅いでみると、呼気と共通した臭気を感じることがあります。
これは、口臭の原因となる揮発性物質(VSCやアルデヒド、ケトンなど)が血液中をめぐり、肺から呼気として排出される一方で、腎臓から尿にも排出されるためです。

たとえば、にんにくやネギ、カレーなどを食べたあとに息が臭うのはよくある経験ですが、そのときの尿も同じようなにおいになります。
また、アルコールを飲んだ翌日に「酒臭い」と言われるとき、尿も同じ臭いを帯びています。
これは、食べ物や代謝産物の臭気成分が血液に溶け込み、呼吸とともに放出されているためです。

ほんだ歯科では、この呼気性口臭をより正確に評価するために、尿の理化学検査とともに尿の臭気そのものも確認しています。
患者さんの中には意外に思われる方も多いのですが、尿の状態を調べることは、体の中でどんな代謝が起きているかを知る重要な手がかりなのです。
呼気と尿の両方に同じ臭気パターンが見られる場合、それは体内(血液中)に臭気原因物質が存在している確かな証拠になります。

また、内科的な病変が原因で呼気性臭気が出ることもあります。
たとえば、糖尿病によるアセトン臭、肝機能障害による甘いようなアンモニア臭、腎疾患による尿臭などがその代表です。
これらはすべて血液中に代謝異常物質が増えることで生じるもので、尿検査で異常が見つかることが多く、内科的疾患の早期発見につながることもあります。

このように、「呼気性口臭」とは単なる息のにおいではなく、身体の代謝と健康状態を映し出すサインでもあるのです。
口の中を清潔にしても消えない臭いがある場合は、ぜひ一度、医学的な検査を受けてみてください。